多くの医療機関で導入されている電子カルテは、5年〜7年のリース契約を伴うケースが一般的です。この契約満了(リースアップ)のタイミングは、システムの運用を見直す大きな契機となります。この記事では、リースアップ時に医療機関が直面する課題や選択肢、費用を抑えてシステムを移行するためのポイントを解説します。
リース期間が終了する際、医療機関には主に「現行システムの契約更新(機器の買い替え)」「他社システムへの乗り換え」「再リース(契約延長)」という選択肢が与えられます。診療業務に直結するインフラだからこそ、満了の数ヶ月前から計画的に検討を進める必要があります。
税法上の法定耐用年数はソフトウェアが5年、オンプレミス型の場合のサーバー機器(ハードウェア)が6年と定められています。これに合わせて、メーカー側の保守サポートやOSのアップデート対応が終了するケースも多く、そのまま使い続けることがセキュリティ上のリスクになる場合があるため注意が必要です。
院内にサーバーを設置するオンプレミス型電子カルテの場合、リースアップに伴う機器の更新(リプレイス)には、初期導入時と同等規模の費用が再び発生することがあります。これにはサーバーやクライアントPCなどのハードウェア代金だけでなく、システムの設定費、データ移行作業費などが含まれており、数百万円規模の投資を求められるケースが少なくありません。
現行の機器をそのまま使い続ける「再リース」を選択すると、月々の支払いは低価格に抑えられます。しかし、ハードウェアの経年劣化による故障リスクや、システム自体の陳腐化、医療DX対応への遅れといった課題を抱え続ける点に留意せねばなりません。
操作方法が変わらないため、スタッフの再教育の手間が発生しない点がメリットです。一方で、次回以降のリースアップ時にも同様のサーバー買い替えコストが継続して発生します。
現行システムに対する機能面の不満を解決できる可能性があります。ただし、こちらも自院にサーバーを設置する仕組みは変わらないため、同様に高額な初期費用や将来的な更新コストが必要となります。
インターネット上のサーバーを利用するクラウド型へ移行する方向性です。院内サーバーの購入や更新が不要になり、月額の利用料ベースでの運用に切り替わるため、定期的な高額更新の負担を抑える手段として選ばれるケースが増えています。
他社システムへ乗り換える際、多くの医師が懸念するのが過去カルテの引き継ぎです。電子カルテはメーカーごとにデータベースの規格が異なるため、過去の診療録(特に2号用紙の経過記録テキスト)を新しいシステムに完全に文字変換して取り込むことは、技術的・コスト的に困難を極めます。
現実的な解決策として、旧システムから過去の診療録を患者ID順に「PDFなどの汎用ファイル」として一括出力し、新システム側でボタン一つで呼び出して参照するアプローチが挙げられます。データ移行の費用を抑えながら、医師法で義務付けられている5年間の保存義務や見読性を確保できるため、リプレイス時の有力な選択肢となっています。
クラウド型電子カルテを選定する際は、基本料金の中にどれだけの機能が含まれているかを確認することが重要です。通常は追加費用(オプション)になりがちな「レセコン」「予約機能」「WEB問診」などが標準搭載されているパッケージ型のシステムを選ぶことで、システム全体の総所有コスト(TCO)を抑え、自動精算機などの他の医療機器への投資へ予算を回すことが可能になります。
システムの変更に伴うスタッフの操作不安を解消するためには、サポート体制の比較が不可欠です。低価格なクラウドシステムの中には「オンラインやメールのみ」の対応にとどまるメーカーもあるため、移行期の混乱を防ぐためにも、現地訪問での操作研修や対面での伴走サポートに対応しているかどうかを確認して選ぶことが望ましいです。
一般診療所・病院運営・自由診療といった各領域で重視されるポイントを踏まえ、3つのタイプに分けて整理しました。
違いが見えにくい電子カルテを“診療スタイル基準”で比較し、自院に合う方向性をつかめるようにまとめています。
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