電子カルテの歴史を紐解く

目次

電子カルテの導入を検討する上で、その成り立ちや発展の経緯を理解することは、自院に合ったシステムを選び、将来的な運用をイメージする一助となります。電子カルテは、単なるITツールとして突然登場したわけではありません。医療現場のニーズと国の政策、そして技術の進歩が複雑に絡み合いながら、現在の形へと進化を遂げてきました。

本記事では、電子カルテがどのような歴史を歩んできたのかを、時代を追って解説していきます。

黎明期と前身(1960年代~1980年代)

電子カルテが誕生する以前、医療現場ではコンピュータ化の波が少しずつ訪れていました。この時代の主役は、後の電子カルテの礎となる、業務ごとの個別システムです。

1960年代~1970年代:個別システムの稼働

1960年代には、医療費の計算を行う「医事会計システム」が稼働を開始しました。続く1970年代には、検査データを管理する「臨床検査システム」や、医師の指示を各部署に伝達する「オーダエントリシステム」が導入され始めます。また、この時期に診療報酬請求(レセプト)業務をコンピュータ化する「レセプトコンピュータ」が登場し、医療事務の効率化が大きく前進しました。

1980年代:システムの普及と海外の動向

1980年代に入ると、レセプトコンピュータやオーダエントリシステムが多くの医療機関で普及し始めました。これらは今日の電子カルテが持つ機能の一部を担うものであり、電子カルテの「前身」と位置づけられます。

米国では1970年代には既に電子カルテシステム「PROMIS」が登場しており、カルテの電子化に関する研究開発が進められていました。

電子カルテの誕生と普及開始(1990年代~2000年代前半)

1990年代に入り、日本でもついに「電子カルテ」が法的に認められ、本格的な普及期へと突入します。国の政策が、その大きな後押しとなりました。

1999年:電子カルテの法的容認

この時代の最も重要な出来事は、1999年に厚生省(現:厚生労働省)から「診療録及び診療諸記録の電子媒体による保存に関するガイドライン」が発出されたことです。これにより、従来は紙での保存が義務付けられていたカルテを、一定の要件を満たせば電子データとして保存することが法的に認められました。このガイドラインで示された要件は以下の3つで、「電子保存の三原則」と呼ばれています。

この年を境に、多くのメーカーが電子カルテ開発に参入し、日本の電子カルテ市場の黎明期が始まりました。

国の普及目標と周辺環境の整備

2001年、厚生労働省は「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」を策定し、2006年度末までに400床以上の病院および診療所の6割に電子カルテを普及させるという具体的な数値目標を掲げました。

2005年頃には、日本医師会が開発したレセプトソフト「ORCA(日医標準レセプトソフト)」が登場。多くの電子カルテメーカーがORCAとの連携を前提とした製品開発を進めるようになり、導入のハードルを下げる一因となりました。同時期に個人情報保護法やe-文書法が施行され、医療情報の安全な取り扱いに関するガイドラインも整備されるなど、電子カルテを取り巻く環境が急速に整っていきました。

この時期の政策は、紙のカルテやレセプト、レントゲンフィルムといったアナログ情報をデジタル情報へ置き換える「デジタル化」に主眼が置かれていました。

クラウド化と標準化の進展(2010年代~現在)

2010年代に入ると、電子カルテは単なる院内業務の効率化ツールから、医療機関同士をつなぐ「情報連携の基盤」としての役割を期待されるようになります。それを可能にしたのが「クラウド化」と「標準化」です。

2010年:クラウドサービスの解禁

2010年、厚生労働省は通知の一部を改正し、医療機関外の事業者が運営するサーバー(データセンター)で診療録を管理することを認めました。これにより、医療分野でのクラウドサービスの利用が実質的に解禁されます。

この出来事は、電子カルテの導入形態に大きな変化をもたらしました。従来は院内にサーバーを設置する「オンプレミス型」が主流でしたが、初期費用を抑えやすく、管理を外部に委託できる「クラウド型」電子カルテという新たな選択肢が生まれたのです。

標準化によるデータ連携の推進

異なるメーカーの電子カルテ間では、データの形式が異なり、そのままでは情報を交換できないという課題がありました。そこで、2010年から厚生労働省は、医療情報の交換規約であるHL7や、データ形式を定めたSS-MIXといった国内外の標準規格を採択し始めました。

情報の「標準化」は、病院と診療所、あるいは病院と薬局といった異なる施設間でのスムーズな情報共有を目指すものです。2016年に診療情報提供書(紹介状)の電子的送受信が評価されるようになったことや、電子処方箋の運用が開始されたことなども、この標準化の流れの一環です。これらの政策は、国が推進する2025年の「地域包括ケアシステム」完成に向けた重要な布石とされています。

現在の普及状況

厚生労働省の調査(2023年)によると、電子カルテの普及率は一般病院で65.6%、一般診療所で55.0%です。しかし、400床以上の大規模病院に限定すると93.7%に達しており、病院の規模によって普及率に大きな差があるのが現状です。

参照元:厚生労働省「電子カルテシステム等の普及状況の推移」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000938782.pdf)

導入の課題と今後の展望

電子カルテの歴史は、導入における課題の克服の歴史でもありました。そして現在、その役割は新たなステージへと向かっています。

導入時の課題とその変化

導入が始まった当初は、「手書きの方が早い」「紙で特に不便はない」といった抵抗感や、パソコン操作に不慣れなことによる入力時間の増加が課題とされていました。また、高額な導入コストや維持費、システム障害時のリスクも大きな懸念点でした。

しかし、時代とともにパソコン操作に慣れた世代が医療現場の主役となり、メーカー各社の開発努力によって直感的に使えるシステムが増えたことで、操作性に関するハードルは大きく下がりました。コスト面でも、前述のクラウド型電子カルテの登場により、特に中小規模の病院や診療所にとって導入しやすい環境が整いつつあります。

これからの電子カルテに求められる役割

こうして電子カルテは普及していったという歴史があります。今後も、さまざまなシステムの発展や電子カルテの普及拡大が予測されています。まだ、普及率に課題がある中小規模の病院や診療所での導入が期待されています。

診療形態別
おすすめ電子カルテ3選

一般診療所・病院運営・自由診療といった各領域で重視されるポイントを踏まえ、3つのタイプに分けて整理しました。
違いが見えにくい電子カルテを“診療スタイル基準”で比較し、自院に合う方向性をつかめるようにまとめています。

外来・在宅中心の
一般診療所なら

診療フローがそのまま移行可能な
外来特化型カルテ

MAPs for CLINICマップスフォークリニック
MAPs for CLINIC公式HPキャプチャ
引用元:MAPs for CLINIC公式HP(https://service.emsystems.co.jp/maps_series/for_clinic/)
一般診療所との
相性が良い理由
  • 長年使ってきたオンプレカルテやレセコンからのデータ移行に強く、過去記録を損なうことなく引き継げます。外来中心の診療所に多い「今の診療スタイルを変えたくない」という悩みに寄り添う製品です。
  • ブラウザ型より高速なアプリ型クラウド電子カルテで、操作カスタマイズも柔軟です。よく使う情報を1画面に集約でき、職種ごとの表示も可能。移行初日から外来を止める心配が少ない設計です。

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入院・病棟運営が必要な
病院なら

急性期から地域包括まで一気通貫
病院運営を支える“統合型HIS”

HOPE LifeMark-MXホープライフマークエムエックス
HOPE LifeMark-MX公式HPキャプチャ
引用元:HOPE LifeMark-MX公式HP(https://global.fujitsu/ja-jp/offering/digital-support-for-mid-size-hospitals)
病院運営との
相性が良い理由
  • 外来・入院・看護・検査・医事が単一データベースで統合され、病棟運営・DPC・地域連携まで一元管理できます。部署ごとの業務を途切れさせず、情報共有のミスが発生しにくいように設計された、病院向けの構造です。
  • 全国の中核病院で採用され、制度改定対応のスピードと安定性が高い点が特長です。入院管理や医療安全の要件にも強く、病床規模が拡大しても使い続けられる“病院標準”としての信頼があります。

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美容医療など自由診療
クリニックなら

売上・リピートの向上を目指せる
LINE起点の次世代CRMカルテ

SMARTCRMスマートシーアールエム
SMARTCRM公式HPキャプチャ
引用元:SMARTCRM公式HP(https://www.smart-crm.me/)
自由診療との
相性が良い理由
  • 自由診療で必須となる役務管理・予約管理・写真管理を一体化し、患者の来院動線から施術記録、セグメント配信までをLINE上で完結できます。単価管理やリピート率改善のPDCAを高速に回したい院長に向く仕組みです。
  • 施術の回数消化や契約書関連の管理を自動化。患者との認識相違を防ぎ、電子契約の導入で書類の渡し忘れや紛失リスクも排除。アナログ管理に依存しない、ミスを防ぐ運用基盤を構築できます。

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