紙カルテの最大のメリットは、何といってもコストが安いことです。電子カルテの導入には多大なイニシャルコストを要しますが、紙であれば基本的に印刷費用だけで済みます。使用するときも紙と筆記用具だけあれば良く、手間がかかりません。
電源を必要としないため、停電やシステムの故障に悩まされることがありません。紙に書くだけなので、操作のミスがシステムのエラーにつながる心配がないこともメリットです。停電やシステムダウンなどに関係ないので、非常災害時には強いと考えられます。
一患者一カルテが基本ですが、紙カルテの場合は他の誰かが使っていると閲覧も書き込みもできません。電子カルテであれば複数のスタッフが同時に使用できるので、共有が簡単です。
紙は場所を取ります。診療を長年続けていれば紙カルテの量は膨大となり、保管場所に苦慮することにもなります。当然ながら整理整頓してすぐに出せるようにしておかなければならないので、その管理の手間は大変です。管理上、無断持ち出しによる情報漏えいがあるといけないため、セキュリティの高い場所にスペースを確保する必要があります。
台風や大雨といった異常気象による水害が珍しくない昨今、紙カルテだと水による被害を多く受ける可能性があります。大量のデータが流されたり、汚れた水によって汚損されると、修復不可能なことも。停電による被害は少ない紙カルテですが、水による災害には弱い特徴があります。
診療記録は治療が終わってから5年間は保管するように義務づけられています。逆に期限の過ぎた記録は整理して廃棄していかないと、必要なカルテを探すのに大幅な手間がかかることに。紙カルテを整理する際は大量の記録をシュレッダーにかけて廃棄することになり、定期的に整理の時間が必要です。
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導入すべき
電子カルテとは?
電子カルテの大きなメリットのひとつは、すぐに書き込み・編集ができることです。紙カルテの場合はまずカルテ庫から出して、そして手で書くという流れなので時間がかかります。電子カルテであれば該当患者をすぐに検索できますし、手間もかかりません。
誰にでも読みやすいという部分も見逃せません。患者さんの話を聞きながらカルテを書くと、ときには文字が乱雑になることもあり、それがスタッフへの指示だとすると後々業務に支障をきたす可能性もあります。電子カルテなら当然ですが文字の癖などないので、スタッフとの意思疎通にも役立ちます。
電子カルテだと伝票などは必要ないので、検査や処置、会計などの業務がスムーズになります。より多くの患者さんを診ることができますし、待ち時間も短縮されます。もちろん検査結果などの取り込みも簡単です。電子カルテから検査指示を出すこともできます。
紙と違ってデータは場所を取りません。紙カルテは管理にも保存にも多くのスペースが必要ですが、電子カルテはすでに使用しているパソコンやタブレットがあればOK。新たに大きなスペースが不要なことが大きなメリットです。
電子情報なので文字の読み取り間違いがなく、単純なミスを防げます。画像の読み取りも可能。アレルギーや血液型といった記載事項の見間違いを防ぎ、安心安全な管理体制を目指せます。
電子カルテは導入してすぐに使いこなせるわけではありません。マスタなどを自院に合った形で用意しておけば使いやすくなりますが、その事前準備はそれなりに負担がかかります。紙カルテなどアナログな運用を行なってきた医療機関では、スタッフが慣れるまで業務がスムーズに進まなくなる可能性もあるでしょう。電子カルテを導入することは、それに付随する業務もさまざまな変更が必要なためです。
電気を使用する電子カルテは停電時には使用できません。万一の災害発生時に備え、災害時用の紙カルテや各種伝票などを備えておいたほうが良いでしょう。停電時に素早く非常電源に切り替えられるよう、停電時の対策をとることも大切です。
電子カルテのシステムがクラウドサーバー上にある場合、インターネットに接続しないとカルテを利用できません。サーバー利用料やネット整備費用として、少なからずコストがかかります。災害時にネット障害が生じた際も、アクセスできない状況が考えられるので対策が必要です。
膨大なデータをクラウド上に保存できるからこそ、簡単にデータを盗まれないようセキュリティの強化が重要。カルテには個人情報が記載されており、改ざんされると命に関わる危険性があります。システムやサービスの提供元が対策を行うのが基本ですが、信頼できるシステムかどうかよく見極めるのと同時に、セキュリティ対策がきちんと行われているか確認しましょう。
病院やクリニックの規模、診療科によって適した電子カルテは異なるため、導入にあたって運用に適したカルテの選定が必要です。例えば、大病院では全ての部門が情報を共有できる環境を整備するため、大容量のサーバーを用意します。どの規模で共有したいのか、どんな項目が必要かを考え、運用方法に適した電子カルテを探しましょう。
電子ゆえのデメリットは故障。使用期間が長くなるほどパソコンが故障するリスクは高まります。電子カルテシステムを導入したすべての端末(パソコン3~5台)が一度に故障することは少ないですが、一部の不具合でも診療に大きな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。故障のリスクを少しでも低減するため、定期的にメンテナンスを設けている会社のシステムを選ぶのが得策でしょう。
電子カルテと紙カルテのメリット・デメリットを挙げましたが、やはり電子カルテのメリットのほうが大きく上回ると考えられます。業務の効率化という患者さんと医療機関の双方にもたらすメリットはとても大きいでしょう。
普及率の向上に伴って、電子カルテは今後も技術の革新がなされていくと期待されています。未来の医療分野において電子カルテは必要不可欠な存在になることは間違いないと思われるため、未導入の医療機関におかれては導入の検討を強くおすすめします。
一般診療所・病院運営・自由診療といった各領域で重視されるポイントを踏まえ、3つのタイプに分けて整理しました。
違いが見えにくい電子カルテを“診療スタイル基準”で比較し、自院に合う方向性をつかめるようにまとめています。
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