医療業務の効率を高めるためのシステムとして広まっている電子カルテとレセコン。混同しがちな両システムですが、それぞれ用途が異なります。両システムの違いやメリット・デメリットをまとめました。
電子カルテもレセコンも医療機関で利用されているコンピューターシステム。紙媒体や人的チェックの上で進めていた業務を機械化し、管理コストを削減することで効率化を図るために開発されました。電子機器内でデータを管理するため素早く利用でき、導入に必要なスペースもコンパクト。入力ミスや読み間違いによるヒューマンエラーを減らし、より安全な医療体制を目指すためにも多くの病院で利用されています。
電子カルテとは、患者さんのIDや連絡先、アレルギー情報、既往歴といった診療情報(カルテ)を電子的に管理するシステムのことを言います。以前は紙で管理していたものを、電子的なデータとして保管・管理可能。カルテが膨大な量になっても、すぐに検索して必要な情報を探し出せるのが利点です。文字や表現の癖による伝達ミスを防ぎ、安全性の高い医療体制を目指すためにも重視されています。
厚生労働省の「医療施設調査」によると、2017年の時点で一般病院の電子カルテ普及率は46.7%。400床以上の大病院での普及率が85.4%になっています。また今後さらに他媒体との連携による効率化に注目が集まっています。
レセコンはレセプトコンピュータのことを指し、医療機関が健康保険組合などの機関に対して診療報酬を請求する「レセプト(診療報酬明細書)」の作成に用いるシステムです。医療機関が提出したレセプトは保険診療や診療報酬点数などがチェックされ、適正であれば診療報酬の支払いが行なわれます。
レセプトの作成以外にも、会計をまとめたり処方箋を発行できる機能も。機種によっては、診療予約の受付や保険証のスキャンができるものもあります。2021年4月診療分における診療所のレセコン普及率は98.6%。多くの医療機関で使用されていることがわかります。
電子カルテとレセコンは、「診療情報の記録」と「レセプトの作成」で、そもそも使用する目的が異なります。また、電子カルテは医師や看護師、検査技師や薬剤師など、患者さんの診療に関わる複数の医療従事者が確認するもの。一方のレセコンは、会計情報を管理する医療事務担当者や会計士が使用することがほとんどです。扱う人や人数に差があります。
用途が異なる両システムですが、連携させることによってさらなる業務効率化やミスの防止を図れます。そのため、そもそも一体化されているシステムも登場。クリニック全体の把握にも繋がります。開業医となれば、医師であると同時に経営者になるということ。一体型のシステムを導入することでクリニック全体の動きをコントロールし、人に依存しない管理体制を整えることが可能です。
電子カルテとレセコンで別々のシステムを使用する場合、診療情報で共通する入力項目があっても、2つのシステムにそれぞれ情報を入力する必要があります。一体型の場合、一度の入力でカルテからレセプトの作成まで可能。どの端末からも操作できるため、一部の部署でトラブルがあった際にリカバリーしやすくなっています。
また受付から医師による診療、会計までの一連の流れを一元管理可能。医療体制の課題を見つけやすく、より患者さんにとって良い環境の整備に繋がります。
医師と医療事務の双方向でデータ入力が可能なため、システムによってデータに齟齬が出てしまうリスクを減らせます。修正が発生した場合も、一つのデータを修正するだけ。両方のシステムに入って二度修正する手間がありません。修正時や変更時の入力ミスのリスク低減にもつながります。
カルテやレセプトの作成時にリスクとなるのが、データの打ち間違いといったヒューマンエラー。人が入力する以上、どうしても起こる可能性があるミスです。入力する項目が多ければ多いほど、ヒューマンエラーの危険性は高まるため、一体型にして入力回数を削減することでミスの防止につながります。システムにチェック機能がついていれば、機械的に間違いを探し出せるためより早い修正が可能でしょう。
システムが一つなので、メンテナンスが楽になるメリットがあります。医療業務に関わるさまざまなデータが集約されることになるので、故障しないような日々のメンテナンスは要。定期的にシステムの確認をしてもらうのが理想です。システムが複数あると、それぞれをチェックしてもらうことになるため、手間やコストが増える可能性があります。一体化されたシステムであれば、メンテナンス時も一つのシステムを見てもらうだけ。時間やコストを抑えやすいのがメリットです。
医師が入力した電子カルテの情報がレセプトデータに自動的に反映されるため、点数の計算や会計がスムーズになります。カルテを見ながら再度入力する手間がないので、入力回数を分けることによる入力ミスのリスクを軽減。保険点数を考えながら入力する必要がなくなり、複雑な知識がなくても受付作業が可能になります。重要な計算が必要な部分や確認は医療事務スタッフに対応してもらい、システムでのレセプト作成はアルバイトの人に対応してもらうなど、臨機応変な体制づくりができます。
診療から検査、会計、レセプト情報まで、院内においてのすべての情報がリアルタイムで共有可能。それぞれの部門の業務連携がスムーズになり、対応の効率化が図れます。新しい患者さんの登録や会計作業も、複数のシステムに登録する手間がないのでスムーズ。対応が効率化されれば、患者さんの待ち時間の削減にもつながるのがメリットです。
感染症が流行し、滞在時間にセンシティブになっている時期だからこそ、あまり待たずに診療を受けられる体制を整えることで来院者の拡大につなげられます。
一体型のデメリットとして挙げられるのが、一元化している分、システムに異常があればすべてのデータに影響が出てしまうこと。トラブルが起きたら、一定時間データにアクセスできないこともあるでしょう。
その点、電子カルテとレセコンを分離して使用すれば、トラブル時に片方のシステムの情報でカバーできる可能性があります。リスクヘッジとして別々のシステムを導入するのも手でしょう。
分離型の場合の欠点としては、同じデータを別々のシステムに二度入力が必要なことです。単純に手間が二倍になる上、ヒューマンエラーのリスクが高まります。
分離している利点はトラブル時のリスク対策になることです。
ただし、どうしてもミスのリスクや手間は増えることになります。また分離していても、電気系のトラブルの場合は両方のシステムにトラブルが発生する可能性が高め。総合的に考えると、メンテナンスを重視して一体型システムを導入するのが得策でしょう。
一般診療所・病院運営・自由診療といった各領域で重視されるポイントを踏まえ、3つのタイプに分けて整理しました。
違いが見えにくい電子カルテを“診療スタイル基準”で比較し、自院に合う方向性をつかめるようにまとめています。
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